今回の課題本  猫鳴り 沼田まかほる https://amzn.to/43qxVY6 

エッセイここから

 

『どま』のいる生活

ある日。

家を出てすぐ右に曲がる道のど真ん中に、小さな生き物が鎮座在していた。

住宅街の道。
マンホールの上にいる時もあれば、少し外れたところにいる時もある。
クルマが来ても、どかない。
人が来ても、バイクが来てもどかない。
ど真ん中に陣取って、
小さい身体で精一杯「ナワバリ」を主張する子猫。

道のど真ん中を譲らない上に、人に構われるのもお断りなようで、
ちょっかいを出しても
「なんだよ(怒)」と迷惑顔。
手の届かないほんの1mもない距離にゆっくり移動する。
決して焦らない走らない。

いつもど真ん中にいる猫、略して『どま』と、我が家では勝手に名付け、
各自が帰宅した際に「いた」「いなかった」と報告するのが日常となった。
同じ頃、同じような大きさの、しかしめちゃめちゃ貧相な猫もよく見かけるようになり、そちらは『ひん』(貧相だから)と勝手に名付け、『どま』と併せて行動報告は我が家の常だった。

冬になると家猫らしく、あまり外で見かけなくなり
「ひん」だけがそこいらを走り回るようになった。

季節が明け、末息子が寮生活となり家を離れる日、
久しぶりに道の真ん中にどまがいた。
まるで見送りをしてくれてるかのように思えた。

そういえば、そんなCMがあったなと思い出した。
https://youtu.be/KXVW__x8Jds?si=7R-vAx_N3GB68aIQ

 

飼ってる、一緒にいるわけではないが
アチラもコチラを認識してる(それだけ)関係。
悪くない。

あれから1年。
子猫はあっという間にデカくなり、
道のど真ん中は危険⚠️という学習もしたらしく、敷地内から出てこないことが増えた

しかし、日々の猫報告は
LINEを通じて離れて暮らす息子との潤滑油の役を果たしている。
そのうちCMのように家族を見せてくれる日が来ることを願っている

エッセイここまで。

作品の意図

本日やっと読み終えた。
読み終えて、猫の話だったのか…と力が抜けた。
信枝と浩市のややこしい話に展開するのかと思ったあたりで
一度読むのを中断していた。

猫の話か…それなら。

いつかは書こうと思っていた近所猫の「どま」について書こう。
そうきめたらサクサクとペン(正確にはキー)が進んだ。

小っちゃかった子猫はモンちゃんのように、大きく育っている。
貧相だったひんもちゃんとした猫になった。
猫の一生は人と比べると長くない。

そんな思いで書いた作品になりました。