課題本 「ひまわりのなみだ」 横須賀しおん

ギリシャ神話にて・・・・・

『海神の娘である海の精クリュティエ(クリティ)は太陽神アポロンを一目見て恋してしまいました。しかし、アポロンは別の女性に夢中になっていたので、クリュティエには目もくれませんでした。恋に破れたクリュティエは、嘆き悲しみ、九日間地面の上に立ち尽くしてアポロンを見つめていました。日の出から日の入りまでただひたすらにアポロン(太陽)を見つめつづけ、その間に口にしたのは、冷たい露と自分の涙だけでした。
そしてクリュティエは、とうとうヒマワリの花になってしまいました。』

なんて切ない話なんでしょう。しかし、別の文献からはちょいとすさまじい話が…。

『アポローンは太陽神。毎日きちんと日の出と日没の時間を決めて、太陽の二輪車に乗り天を駆けます。それが今や、世界を照らすべき仕事も忘れて、レウコトエを早く見たいばかりに日の出の時間より早く東の空に昇ってしまったり、レウコトエに見とれていて西の空に沈むのを忘れたり。 レウコトエが見つからなかったときなど、日蝕をおこして、地上を照らすことさえおろそかになってしまったほどでした
「私は、一年の基準となる神だ。いつも大空から万物を見下ろしている。私は世界の眼なのだ。その私が、お前に恋をしてしまった」思いがけない恋の言葉に、レウコトエは驚きおそれました。 しかし、アポロンが本来の姿にもどると、レウコトエは、太陽神のまばゆい輝きと美しさに心奪われ、夜のとばりの奥への誘いを受け入れたのでした。
このことを知ったアポローンの恋人である水のニンフ・クリュティエは嫉妬に燃えました。「今までの私への愛は、どこは行ってしまったの!人間の分際で私を押しのけるとは、けっして許せない!」
クリュティエはレウコトエの父オルカモス王のところへ出向き、あることないこと告げ口します。「お前の娘は淫らだ。その色気でアポローンを誘惑し、密通している。いつになっても、神を私に返してくれない!」
気性の荒い父オルカモス王は、怒りからレウコトエを深い穴に生き埋めにしてしまいました。父の定めた男以外とちぎること、すなわち父王の権威をないがしろにするなど、たとえ愛する娘であっても許すことはできません。
アポロンは、何とか助け出そうとしましたが、レウコトエは土の重みで衰弱していきました。 アポロンは、レウコトエに神酒ネクタル(ネクターという飲み物の語源)を注いでやりました。 すると、彼女の体は、一本の乳香の木に変わってしまいました。

悲しみに沈んだアポロンは、クリュティエの弁解も聞かぬまま、彼女から離れていってしまいました。 クリュティエは、アポロンを取り戻すどころか、すっかり嫌われてしまったのです。クリュティエは、失恋の痛みにやせ細っていきました。9日の間、姉妹の顔を見るのもいやで、食事もとらず、化粧もせず、地面に座っていました。ただただ、朝から晩まで大空をゆく太陽神に自分の顔を向けているだけです。そして、いつのまにか大地に根を生やし、「ひまわり」になっていました。』

1つ目の話だと、せつない片思いなんだけど、
2つ目の話になると、一度は恋人になったものの、飽きられて浮気されて、相手の女を道連れに自爆してしまった話になり替わる…。
ある意味、オトナ?リアルだね。

で、詩になりそうなのは①の話。
②だと怖い再現フイルムみたいな…全くジャンルが変わってくるよね。

そもそもアポロンは、ギリシャ神話の神々の中でダントツのイケメンモテ男。まばゆい金髪と美しい顔立ちの上、たぐいまれなる才能に恵まれ、神も妖精も人間も、多くの女性や少年が、アポロンと恋をしています。
俺か?俺以外か?以上のレベルでしょうね。

こちら側からは嫌な感じの詩になりそうです。苦笑。

 

これは、エッセイではないよ。人のふんどしですから…。次号に続く。