犬が犯した罪と罰
2020/3/24 18:48
課題本:「白」 芥川龍之介
白が犯した罪と罰、そして救いの物語。できれば、避けて、忘れて、なかったことにしたかった過ち。
課題図書:芥川龍之介「白」
1985年、大学3年の私は当時大流行していたエアロビクスに夢中だった。
バブルの時代、大流行したエアロビクスのインストラクターは当時の女子のなりたい職業のトップ3に入るほどの『イケてるスタイル』。
ご多分に漏れず私も短期養成だけ受けて、インスタントラクター(即席で教えられると勘違いしてるインチキ指導者)としてブイブイ言わせていた。
そんな私に舞い込んだ1つのサークル指導の話。二つ返事で引き受けた。好きなことを教えて、先生呼ばわりされ、しかも謝金までいただける。
と、いっても、正式な養成コースを出たわけではない私は、せっせとスタジオに通い、そこで受けたレッスンをそのままパクリ、サークルで多少アレンジして教えるというインチキラクターを続けた。
それでも、生徒のおばさまたちは喜んで受けてくれ、謝金以外にもお中元、お歳暮、また職場で余ったという様々なものをプレゼントしてくれ、私は浮かれていた。
そして、大学4年、卒業間近の3月。あこがれのスタジオに就職が決まり、私はサークルを辞める旨を申し出た。
替わりの先生なんていくらでも見つかるだろう。もちろん生徒さんたちは、喜んで送り出してくれた。
しかしずいぶん経ってから、そのサークルは解散したと耳にした。
私が放り出したあと、代わりの先生も見つからず、続けられなかったらしい。
私が潰したんだ…。
浮かれてた自分の都合だけで、せっかく続けてきた皆の運動の機会を奪ったんだ。深い深い後悔に襲われた。
以来、私は「自分から辞める」ことを放棄した。
先方から切られる、もしくは引っ越しなどのやむない事情以外は、ご縁をいただいたものは、「終わるまで続ける」。
まさに、戦い続ける「黒くなった白」の気持ち。
そして、今。
コロナウイルスの影響で休業となり、仕事の仕方を再構築することに直面している。
月に向かって語り掛けてる白に重なる思い。
この先は、「黒くなった白」が「白い白」に戻ったように、私にも解放が訪れることを願いたい。
#城村典子
#後藤勇人
追記:こちらの作品も「24色のエッセイ」に収録されています。
じつは、このタイトルのうらには「かぐや姫」の影響がありました。
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