百色図鑑〜四季彩 言の葉 (ビジュアルガイドシリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2022/7/8
北山建穂 (著)
赤の時代
2022/11/23 13:41
ブランディングに躍起になっていた頃の話である。師匠の人脈に乗っかり、数多くの懇親会やパーティに出まくっていた。
とりあえず、人の印象に残る。そのための戦略として、カラーの力を酷使していた。
私のイメージカラーは赤。情熱の赤、燃える闘魂、熱き血潮の赤。
「〇〇さんって…ああ、あの赤い人ね」と、言われるまでとにかく赤赤赤!
赤い服を着まくって、どこそこここに出まくった。
当然プロフ写真も赤い服を着た私がにっこりした画像ばかり。
お陰様で、なんとなく周り全体にはそんなイメージが定着しつつあった。
そんな時、一緒に仕事をしようと言う人物が現れた。強引でちょっと苦手なタイプ。しかし私には無いお金への強い引き寄せる力を持っていた。その部分は学びたい!その一心で首を縦に振ったのだが…
私の初出版のパーティ。自分のサロンの何周年だかとの共同開催にさせてくれ、と言ってきた。当時の私は、楽しいことをするなら、たくさんの人やった方が楽しいじゃん!と思っていたので快諾した。
ブランディングしまくっていたお陰で私はそこそこのクラスの方々にゲストとしてお越し頂ける繋がりを持っていた。
今やとんでもないベストセラー作家先生を主賓とし、アクション関連で仲良くなった高名な方々などズラリと席が埋まって会は盛況のうちに幕を閉じた。
もちろんその時も私は赤を着用していた。
次もその次の回も、私は赤を着て、彼女を積極的に連れて様々な会に行ったり開催した。
そして、彼女が主催する会が行われた日。
彼女は赤い服で出ると言い出した。
同じ会で似たような体型の赤が2人はちょっと…。私は衣装を白黒に変更した。
その日以来、彼女は「私のカラーは赤よ。昔から決まってるの。」と言い出した。
は?ちょ、待てよ。昔っていつからよ。
あなたは訳分からんボケたピンクとかフリフリした謎の服着てたろが。
あちこちで紹介した繋がりの会に彼女は顔を出すようになり、そのあちこちでも彼女は赤を着るようになった。
同じ会で近い人間と服がかぶるほど不愉快なことはない。
私は徐々に彼女と距離を置くようになり、
そして静かに絶縁した。
タンスの中にはもう袖を通すことの無い大量の赤い服が眠っている。
赤の時代は終わったのだ。
今の私はモノトーンがブームである。
-一ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作品の意図
最初、タイトルを
盗まれた赤
にしていた。それくらいあったまきた!な出来事だったのだ。しかし、書き終えてみたら、カラーは誰のものでもないということに気づいてしまった。
彼女のことが嫌いなのは変わってないが、私の中で赤の時代が終わったということを再確認させてもらったのでタイトルを替えた。
さ、次いこ、次。
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