コンビニ人間 (文春文庫) ペーパーバック – 2018/9/4
村田 沙耶香 (著)

掴んだその手を離さないで
2023/2/18 18:43

読み始めてすぐ「やめさせないで~~!」悲鳴に近い心の声が湧き上がった。
(まだ話の成り行きがどうなるのかも分からないうちから)
主人公が見つけてまさにハマった生きる場所。この人は此処でなければ生きられない。

生きづらさが取り上げられる昨今、生きる場所、必要とされて生き生きと働ける場所が見つけられたら、それはとても幸運な事。
「私はこれをやるために生まれてきたんだ」と自身が胸を張って言えるなら、何人たりともそれを否定し、邪魔する権利は無い。
社員じゃないとか、給料が低い(それはそれで、最低限生きるために必要なものを生み出す必要はあるが、自分だけを養うならば今の日本なら何とかなるはず。)とか、世間体とか、そんなことはどうでもいい。

「俺にはこれしかないから」とボクサーの道をひたすら進むロッキー。これを「ロッキー病」と称して、いやもっと気楽に生きようよというのは、自分にはそんな唯一のものが見つからないから、と逆の生きづらさを抱える人への流れ。

どちらに転んでも、他人がとやかく言う話ではないはずだ。

なのに
「ちゃんとしないと」「これというものを見つけなさい」とあっちからもこっちからも圧がかかる我が国ニッポン。
なぜに
そんなにケチをつけるのか。もう、そんな時代ではないはずだ。
やりたいことがあるならば、ひたすら邁進すればよし、特にないなら、マルチに軽やかに生きながら小さなありがとうに囲まれて行けばいい。

自信のある人は輝いて見える。
自信のある人は力強く見える。
しかし自信は生まれつき備わった能力ではない。後天的に築かれた人間としての資質だと《人間の幸せを説くアダム徳永》は言う。
「やればできる」体験を積み重ね、
ちょっと頑張ればできることにチャレンジする。比較的に容易に達成できること、
それをやり続けた先に自分に自信が持てて、輝ける。

ただし、自分に合わない土俵で
頑張っても自信を失うばかりなので、
自分に合う土俵があったら手放さない事が大事なのである。
以上、自戒を込めて

エッセイ ここまで。

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作品の意図

年末に、あてにしていた仕事が事業所閉鎖、さらに若手に譲れとレッスン2本を取上げられた。
これからまだ、息子の大学進学を控え、なんなんだとやさぐれた。
もう、引退してパートで生きていくと始めた転職活動だったが、年齢という壁にぶち当たった。
積み上がっていく返却された履歴書とお祈りメール。昭和の頃ならもう定年している未経験者オバチャンをコチラの言い値条件で雇うほど世間は甘くない。やはり、住み慣れた業界、慣れた(経験値の高い)仕事は手放してはいけないのだと、我が身の痛みと同化し、作品として仕上げるに至った。