今月の課題本:
コチラ800文字に凝縮しましたバージョン
ーーーーーーーーーーーーーーエッセイここからーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は両家の初孫、一人っ子として、たくさんの大人に囲まれ、比べられることなく育った。
周りは大人だらけで比較対象はいない。父も母も、私を誰かと比べることはしなかった。兄弟がいないから、子供向けのモノコトはすべて私のものであり、私を中心に回っていた。
ピアノを習いはじめたのは、祖母の「習って当たり前」という一言から。自分の意志ではなかった。
他の習い事は難なくこなせたが、ピアノだけはどうも苦手だった。音を出すことは楽しい。しかし楽譜の点やしっぽがどうしても理解できず、音符を追うたびに頭が停止する。
「うた」や「曲」は好きだったので、小曲集は「耳コピ」でどんどん進む。しかし、バイエルやソルフェージュの“物語のない連続音”はどうにも退屈で、練習も続かない。
そんなある日、先生がため息まじりに言った。
「ほかの子はちゃんと練習してくるのに。」
その瞬間、胸の奥で何かが弾けた。
「ほかの子のことなんて知らない!」
それ以来、先生は何かにつけて「よその子」「みんな」と言うようになり、私は「比べないで!」と反発を重ねた。ピアノ(というより先生だったのかも)はどんどん嫌いになり、やがてやめた。黄色いバイエルの途中で。
今になって思えば、
なぜあんなに反発したのか自分でもわからない。けれど、あの言葉のトゲは確かに私を刺した。
大人になり過ぎた今でも、この世界は比較から完全に逃れることはできない。だが、傷つかないコツを身につけ、傷ついても自分で「ヨシヨシ」できるようになり、問題なく生きている。i
そして親になった私は、子どもたちにこう伝えてきた。
「よそはよそ。うちはうち。あなたはあなた。」
競争の世の中でも、どうか心の面の皮を少し厚くして、トゲを上手に抜ける人であってほしい。
小さな痛みを抱えたままでも、優しく生きていけるように。
─ここまで、776文字─
作品意図
ほぼ倍の文字数をAIさんと壁打ちして研磨しました。
あまり親からのトゲって記憶にないので、大人から言われてイヤだった、いまだにモヤモヤすることを題材にしてみました
タイトル:よそはよそですうちはうち 心に刺さったままの言葉のトゲを抜く本
テーマ(主題):比較されることの痛みと、そこから自分らしさを守る力を育てていく心の成長。
【起】比べられずに育った子ども時代
- 両家の初孫・一人っ子として誕生。
- 周囲は大人ばかりで、誰とも比べられない「特別な環境」で育つ。
- 「私を中心に世界が回る」という安心感の中で幼少期を過ごす。
👉 導入の狙い:比較のない穏やかな世界を描くことで、後半の「比較の痛み」を際立たせる。
【承】ピアノだけは苦手だった
- 祖母の「習って当たり前」という一言で、本人の意志とは無関係に始まったピアノ。
- スイミングやサッカーは順調でも、ピアノは理解不能な“音符の記号地獄”。
- 「うた」や「耳コピ」は得意でも、バイエルやソルフェージュの無機質な練習曲には心が動かない。
👉 展開の狙い:好き嫌いの明確さ・個性を描き、「自分らしさを押し殺して続ける」違和感を提示。
【転】先生の一言:「ほかの子はちゃんと練習してくるのに」
- その一言で、はじめて“他人との比較”というトゲが心に刺さる。
- 「ほかの子なんて知らない!」と強く反発。
- 以後、先生の口癖のように「よその子」「みんな」と比べられ、ピアノそのもの(むしろ先生)が嫌いになる。
- 黄色いバイエルの途中で挫折。
👉 転換点の狙い:無垢な子どもが「他者との比較」という社会的痛みを初めて体験する瞬間を描く。
【結】トゲを抜く力を身につけて
・大人になり、「比較から逃れられない世界」に生きていることを理解。
・傷つかないコツを学び、自分を「ヨシヨシ」できるようになった。
・親としては、子どもたちに「よそはよそ、うちはうち、あなたはあなた」と伝える。
・比較や競争の中でも、トゲを上手に抜きながら優しく生きる力を願う。
👉 結びの狙い:トゲを「抜く力」として昇華し、自己受容と次世代へのメッセージで締める。
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【表現上のポイント】
・比較される痛みを“トゲ”という比喩で一貫して表現。
・幼少期の感情の爆発を素直に描き、読者の共感を引き出す。
・終盤で「反発」→「受容」→「伝承」へと心の流れを自然につなげている。
・読後感を「痛み」よりも「優しさ」に残す構成。
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- 投稿タグ
- エッセイ, ふみサロ, フィットネスインストラクター吉田真理子
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